日本人は背が低いのは仕方がないこと?
一般的に、日本人は欧米の方たちと比べると身長が低く、また脚も短いなんてイメージがありますよね。
「仕方がないもん、日本人だから…」と思ってしまいがちですが、実は日本人の過去の平均身長の推移を振り返ることで身長UPのためのヒントが見つかるかもしれません。
下のグラフは、タニタからだカルテ様のサイトからお借りしました。みなさんは、昔にさかのぼるほど身長が低くてだんだん身長が高くなったと思われるかもしれませんが…いかがでしょうか!?
日本では、古墳時代以後どんどん平均身長が低くなっていき、なんと江戸時代には縄文時代よりも身長が低くなってしまいました。そして戦後、急速に身長が伸びたのです。
これだけの変化は、遺伝子だけで説明できるものではありません。江戸時代の日本人も現代の日本人も、遺伝子にはそれほど違いはないはずです。
だとすればやはり、この身長の変化には遺伝子以外の要因が大きく影響していると考えるべきではないでしょうか。
縄文時代~古墳時代にかけての日本の食生活は?
縄文時代の人々は、狩猟と採集によって生活していました。旧石器時代にはナウマン象なんていう大きな獲物も食べていたようですが、縄文時代になるとそんな獲物はもう獲れないので小型動物や魚、貝などをよく食べていたそうです。
ドングリやトチの実などの木の実と肉、卵などを混ぜてクッキーのようなものを作って食べていたらしいことも分かっています。縄文時代の人たちは結構グルメだったのですね!
ただ昔のことですから、思うように獲物が獲れなかったり木の実が少なくて困ったこともよくあったのではないかと想像できます。
仮に縄文時代の人々が好きなだけ食べることが出来ていたなら、きっと…もっともっと身長は高かったのでしょうね。
そして弥生時代、大陸から伝わった稲作が徐々に広まり、人々は安定して食べられるようになっていきます。縄文時代に食べていた肉や魚、木の実などに加えて米や大豆などが栽培されるようになり、食生活は豊かになっていきます。
古墳時代になるとお米の収穫量が増え、余った米を保存する余裕も。お米が食事の中心になってきたとはいえ、それだけでは足りないので肉や魚は引き続き大切な食糧でした。当時の成人男性の平均身長は163cmで女性は152cmでした。
鎌倉時代以降何が起こったのでしょうか?
しかしその後、日本人の平均身長はどんどん低くなっていきます。江戸時代には男性155cm女性143cmとかなり低くなってしまいました。いったい何があったのでしょうか?
古墳時代が終わる頃、日本に仏教が伝わりました。そして貴族と庶民の食事内容はだんだんかけ離れたものになっていった上、仏教の影響で肉食や殺生がたびたび禁じられるようになりました。平安貴族は今でいうチーズのようなものや魚は食べていたようです。
鎌倉時代になると、動物性の食材をいっさい使わない精進料理が広まりました。だからといって完全に肉を食べない人ばかりではなかったでしょうけど、現代と比べると動物性タンパク質の摂取量はかなり少なかったであろうと想像できます。
戦国時代には地方によっては豚を飼育していたところもあったようです。しかし日常的に肉を食べるということではなく、病気にかかった時に薬として肉を食べていたようですね。
江戸時代になると「生類憐みの令」をピークとして、ますます肉食は禁忌とされました。その代わり、江戸の人たちは白米はたくさん食べることが出来たようですね。
白米中心の食生活ではお腹はいっぱいになっても脚気にかかる者が多く、また平均身長も縄文時代よりさらに低かったんです。
ちなみに薩摩藩の人たちだけは、昔から豚肉を食べていたせいか西郷隆盛を始め長身の人も多く、脚気にかかる者もいなかったそうです。豚肉にはビタミンB1が豊富ですからね~。
明治時代以降の食生活の変化は…
明治時代になると、それまであまり食べられることのなかった牛肉が食べられるようになり、すき焼きの店もたくさん出来ました。
ただ、それまでほとんど食べていなかったためなのか、牛肉を食べることに対してかなり抵抗のある人も多かったそうですよ。
軍隊の食事も西洋式になり、一般家庭でも肉料理が作られるようになりましたが、現代ほど肉を食べていたわけではなかったでしょうね。
しかし戦争で日本の食糧事情はとても悪化しました。戦争が終わっても、日本人の食事はしばらくは肉が足りない状態が続きました。
上の表はタニタからだカルテ様のサイトからお借りしました。戦後、日本人の摂取カロリーは現代とほぼ変わりませんでしたが、その内訳を見ると動物性タンパク質がかなり少なかったです。
植物性タンパク質と比べると、動物性タンパク質はアミノ酸スコアが100に近いものが多く、体内でよりムダなく働くと言えます。
戦後、日本人の平均身長がわずかな期間で約10cmも伸びたのは、食生活の変化によるものと考えることが出来るでしょう。
動物性タンパク質をしっかりと食べさせてあげましょう
成長期の子供たちには、成長に必要な動物性タンパク質が不足しないようにしっかりと食べさせてあげましょう。
もちろん、肉ばかり食べていればいいというわけではありません。魚、卵、納豆、野菜などいろいろなものを食べさせましょう。
たくさん食べたからと言って遺伝子の限界を超えられるわけではないでしょうけど、食べる量が足りないと本来伸びるはずの身長まで伸びきらない可能性があります。